Effective or Affective

運動部の春季大会,地区大会があった今週末でした。

 

修士2年目の今年は,男子・女子バスケットボール部の両方のサポートをすることになり,今回は女子の大会の引率をさせてもらいました。

 

練習試合で見てきたステップアップの様子とは一変,いつもお世話になっている外部コーチが不在だったことや,センターが怪我で本調子ではないことなどが重なって,選手が不安をぬぐえないままあっという間にゲームが終わってしまった感じでした。

 

これまでずっと関わっているならば,打てる手もあったのでしょうが,4月からの関わり,顧問としては3番目の位置づけにある自分にとっては,どう関わるかを考えるのが本当に難しい時間でした。

 

後半,自分たちを取り戻しつつ,チャレンジする姿を見せてくれたことが,次に向けての収穫になったことが救いでした。逆境でゲームを投げ出さなかった選手に拍手を送りたいです。

 

ゲームの後で考えたのが,試合に臨む選手たちのaffective filterがいかに高まっていたか,ということです。

 

 

英語教育に話を移しましょう。

 

かれこれ6,7年前になるでしょうか。宇都宮で開催された英語教育の講演会で,静岡大学の恩師,白畑知彦先生が来られていたときのことです。

 

第二言語習得の国内第一人者のお一人でいらっしゃる先生に,講演後の質疑応答で質問をしました。

 

「教室における親和感は,言語習得にプラスの影響を及ぼしますか」

 

白畑先生の答えは,

 

「それは分からない」

 

でした。

 

白畑先生とは,その後メールで何度もやりとりをして,発言の真意などを交わし合ったのですが,先生としては,検証のしようのないものについて,効果がある,効果がないとは言えないのだ,ということと,言語習得の本質をしっかりと学んでほしい,ということを伝えてくださったのだと思います。

 

修士課程で学んだ今なら,改めてその意味が理解できます。

 

当時の自分は全くの不勉強で,感覚的に質問をしてしまったんだと思います。考えが及んでいたのは,感覚的にでも,

 

「生徒のaffective filterを下げることは有効だ」

 

ということだと思います。

 

 

今になって更に考えて見ると,周囲との関係性,人間関係,安心感など,集団としてのaffectivenessについてしか思いが及んでいなかったなあ・・・と思います。

 

SLAをはじめとする理論面で大事にしたいこと,ことばの教師として意識すべきこと,の引き出しが増えたことが,昨年の最大のGETSだったわけですが,それに加え,生身の子どもたちと接しているからこそ,改めて上で述べたようなことも,大事にしたいなあと思っています。

 

現在自分の中でホットなのは,それに加え,1人の生徒の思考・心境について考えることです。

 

「学んでいることに見通しが持てている」

 

「何のために学んでいるのかが分かっている」

 

「struggleすることに前向きに挑戦している」

 

「ことばの習得には時間がかかり,徐々に積み上げていくこと,意味のある繰り返しを続けていけばよいと理解している」

 

中学生とはいえ,ここしばらく,生徒の可能性を信じるスタンスを大切にしているので,英語便りやことばでのガイダンスでこうしたことを伝え,affective filterを下げられるように,そして,小さな成功体験を積み重ねつつ,力がついていることを実感させてあげられるような,そして,学期末のプロジェクトで大きな達成感と,学んできたことが生きていると感じられるような授業を創っていきたいと思っています。

 

生徒たちの姿から,本当にたくさんの学びのチャンスをもらっています。

 

ありがとう,みんな!