Jinさんのブログとつながって - noticing
未だ直接顔を合わせたことはないものの・・・
という英語の先生の仲間たちは実は少なくないのですが,九州で私と同じように現場でがんばっている仲間,Jinさんがいます。
ブログも持っていて,私のブログよりも,academicな内容を扱いつつ,でも,ちゃんと現場の実際に即した考察を加えた投稿を日々されています。
昨年度,私の大学院1年目とかぶって,地元の大学へ派遣され,スタッフとして1年間研究生活を送った経験も持っています。
Jinさんの昨日のブログには,生徒のnoticing(気づき)についての記述がありました。
http://d.hatena.ne.jp/yamajin1104/
和泉先生の本の記述を取り上げて,和泉先生がnoticingをどう定義されているかを紹介していました。
「教師が授業中に何を説明したとか,強調したとかいうことではなく,学習者自身の中で起こる心的変化のことを指している。教えたから「分かりましたね」ではなく,生徒自らが「そうか,こういう時にはこんな言い方をするんだな」と気付くことが重要と考えられる。」
そのうえで,Jinさんは自分の考察も書かれています。
実践でよく用いるのは,noticing of the gap。「違いの気づき」
生徒自身に自分のアウトプットした英文とモデル文との違いに気づかせ,accuracyを高めていく方法。最近は自分も教科書のリプロダクションなどをさせた後に,形式的な部分や語彙などについて振り返りをさせます。授業観察をしていても,文法指導などでも使われます。
しかし,各noticing of the gapの指導の中で決定的に異なることに思考が流れました。(当たり前のことかもしれませんが,なかなかそんなことに気がつかなかったのです・・・)それは,生徒のアウトプットにかけるエネルギーに従って,「noticing of the gapの効果に違いがある」のではないかということです。文法指導における文整序のnoticing of the gapよりもself-expression, pushed-outputにおけるモデル文とのnoticing the gapの方が効果があるように感じたのです。
と書かれています。
日本のようなEFL環境で,フツウの中学生が,自分のoutputした内容をメタ的にモニターしつつ,モデルになるものとの違いに気づけるかどうかを考えると,特にOralで行う場合には,難しさがあるのかな・・・と思います。
実際に先生との間でinteractionをしているときに,生徒の応答にerrorがあった場合,先生がどうfeedbackするのか,を考えても,implicitにfeedbackしたとして,どのくらいの生徒がそれに気づけるのか,とても興味がありますね。
そう考えると,Jinさんが言っているように,発話させたもの(reproductionなど)を,事後に振り返りをさせているのは,そういった観点からも効果があるのではないかと思います。
加えて,私が思っているのは,OralとWrittenとの抱き合わせによって,noticingを促す,という稲岡先生の実践から学んだアイデアです。
Oralで取り組ませる場合には,fluencyを重視し,対話が継続するように,そして,対人意識を持たせ,真の意味でコミュニケーションを行わせる(受容し,伝達し,理解し合う)。
そして,対話をしたことを書き起こすというWrittenさせるステップを加え,そこで自分の話したことを書き起こし,自分でそれを見つめ直したり,パートナーと交換をしてerrorチェックをしたりしながら,noticingにつなげていきたいなと思っています。
最終的には,先生のチェックも受け,それを経て自分のoutputを視覚的に見つめ直せるようにしています。
SLAを専門としている人が読んだら,・・・と思われてしまうかもしれませんが,今自分がよりどころにしている考え方です。
対話をするときに,思春期真っただ中の子どもたちが,盛んにerrorチェックをされたら・・・もういいよ!になりますね。
だからといって,implicitにrecastしても,気づかない子どもが多いのではないでしょうか。
授業は鍛錬の場です!と,生徒みんなに納得させるようなカリスマ性を持っている先生は,ほんの一握りです。自分はもちろんそんな人ではありません。
だからこそ,生徒のやる気を萎えさせないようにしつつ,結果として力がつくような方法を・・・
稲岡先生から学んだのかな,と思っています。
ただ,中長期的なスパンで考えれば,そうしたimplicitなfeedbackを粘り強く続けていくことで,noticingできる生徒が少しずつ生まれていくことも,忘れずにいたいと思います。
Jinさん,みなさん,どう思いますか?