「定着」について考える
手元に届いたものの,あまりの忙しさに読むことができなかった6月号,ようやく先ほど目を通し始めました。
今月は,授業内容の「定着率」をアップする,という企画でした。
現場の先生の実践も掲載されていましたが,やはり,冒頭の和泉先生の,
「SLAの視点から見た『定着』の意味」
に一番感心をさせられました。
和泉先生曰く:
日本の英語教育界では,「定着」という言葉がよく聞かれるが,そもそも,「定着」ということが,いったいどのような状態なのか,あいまいなままになっているのではないか。
言語習得の過程は,3段階に分かれている:
第1段階:暗記学習(正確性が高いが,決まったことだけの限られた言語使用)
第2段階:規則抽出(自分なりに試行錯誤して言語を使おうとする段階で,暗記ではなく,一般的な規則を見つけ出そうとしながらの言語使用=誤りが起こったり,過剰般化が起こったりする)
第3段階:習熟(柔軟な言語使用)
日本の学校では,教えて,それをドリルなどで強化し,暗記させる第1段階をもって,定着,と考えていることが多いのではないか。
と言われています。
SLAの視点で見ると,教えたことがすぐに定着する,教えてすぐ定着させる,ということが起こり得ないことなのではないか,ということが分かってきます。
言いかえれば,誤りを犯しながら,実際の使用場面で言語を使っていくことで,習得が進行していく(第2段階),そして,それを繰り返していくことで,ようやく習熟していく(第3段階)ことになるというのです。
使って,使って,誤って・・・
振り返って,また使って・・・
そうした授業展開をしている勤務校の実践をサポートしてくださるような内容で,読んでよかった・・・と思いました。
もう読まれた方も多いと思いますが,まだの方はぜひ読んでみてくださいね!