天晴・生徒観察力!

新潟のM先生とここ数年ともに取り組ませていただいている「群読」。

 

教科書の読み物を使って,(4人の)小グループで教科書の朗読をする活動です。

 

教え子たちの群読発表会の様子をDVDで届けたところ,M先生から返ってきたコメントは・・・

 

嗚呼!!!

 

天晴!!!

 

ここまで細やかに子どもたちの様子を観察できるのか・・・

 

自分はその何分の1もできていないなあ・・・

 

 

こんな肯定的なフィードバックをもらったら,子どもたちは本当に心の底から嬉しいんだろうなあ・・・

 

そう思わずにはいられないほどでした。

 

 

とにかく,すごいのです。

 

 

みなさん,どうですか?

 

 

***

 

【全体的な感想や気づき】

 

①さすが3年生!と思わせる風格があった。

 

人前に立つときの少々の恥ずかしさを乗り換えられるのは、互いの信頼感があるからに他ならない。学校生活の中のいろんな場面で、企画に智恵を出し合ったり、運営に苦労したり、発表や表現を受けとめあった経験の中から、大きく成長した姿だと感じた。

 

②T先生の群読活動が進化していた。

 

先行作品をなんらかの形で伝え、刺激しながらより高いものを生み出せるように、育てておられるのだと思う。また、他の教科での表現・発表活動などとの相乗効果もあると思う。

 

③生徒がグループの発表を楽しみにしている感じが伝わってくる。

 

お互いの工夫や努力をrespect する姿勢が育っていることが素晴らしいと思う。

また、このような活動を通して、教材に対する愛着が強まるはず。考えて練習して発表して鑑賞しあってという濃密な活動から、実は、後の人生でも考えつづけて欲しいhuman なテーマに対するこだわりが生まれているはずだし、英語とともにそちらも吸収されているという仕掛けが素晴らしいと思う。

 

④既習の表現の定着

 

アレンジ文の中に既習表現を「ただ使っている」のではなく、「効果的に使っている」ことが素晴らしい。focus-on-form 的な活動。

 

⑤What for?

 

語学学習の上で、発音が上手にできることや、正確な知識を増やしていくことも大切だが、それ以上に大切なことがある、ということが意識下にしみこんでいくように思う。何のための英語教育か?と考えたとき、中学時代にこのような経験をしたことは素晴らしいと思う。

 

【グループごとの発表に関して感想】

 

Group1

声を重ねるところで、よく練習していることがわかった。

イントネーションに気をつけた読み方が好印象。

絵を使って、よく演じており、セリフがせつなく胸にしみこんだ。

最後に声を大きくして強調しようとしており、ドラマという意識を持っていることがわかった。

 

Group2

読みのスピードが速く、スムーズだった。

読みの速さと声の大きさをよくコントロールできている。

トーンが落ち着いていて、悲しい気持ちが伝わった。

発音が明瞭で聞きやすかった。特に子音の音をよく練習していると思った。

 

Group3

インタビューコーナーという発想がおもしろい。

小気味よい速さで読まれていた。

毒入りボテトを避ける場面がよく演じられていて、場面を想像しながら豊かに読んでいることがよいと思った。

 

Group4

「泣けるで賞」。

掛け合い的な構成が面白かった。

低い声が内容に合っていて、悲しい内容が伝わる読みになっていた。

 

Group 5

ゆっくり、しかし、しっかり全文を読めた。

audience が発表者を心から応援し、やりきったことを賞賛する姿勢がよかった。

 

Group6

フレーズをしっかり切っており、「間」が上手だったので、「読み聞かせ」になっていた。

英語の音の出し方を心得ていて、リズムよく読んでいた。

ゾウさんがもだえ苦しむ場面を思いっきり表現しており、引きこまれた。

 

Group 7

発表場所を「ステージ」と見立てて、audience に何が見えているか聞こえているかを考え尽くしていた。そういう眼って素晴らしい。

 

Group 8

スクリーンを効果的に使ったイントロ、小物づかい、効果音、人形劇仕立て、という

creativity の高さには舌を巻きました。ところどころはさんだアレンジ文も見事

 

Group 9

発音よく、自信を持って話している人のリーダーシップで、みんなが活動を楽しめている。

story teller になりきっている。物語の世界のしっかり入り込んでいる。

メッセージがよく伝わった。

最後のアレンジがひときわ素晴らしい。

抜群の英語力を持っている彼も、guardian angel を「守護神」と言い換えてあげているところから、listeners-friendly の姿勢を持てていることが好印象。

 

Group 10

よく声があっている。呼吸を合わせるまで練習をしっかりした様子。

後半の「語り」は硬めの声できびきび話していて、ストーリーがよく伝わった。

声質を変えるという巧みな技は素晴らしい。

 

 

【生徒のみなさんへ】

 

T先生とのご縁のおかげで、ふだん、あまり触れる機会のない中学生さんの頑張りを

見せていただくことができて、大変勉強になりました。ありがとうございました。10グループとも、それぞれの「こだわり」がよく伝わり、ただただ感動しました。見せていただく前にテキスト本文を読みましたが、皆さんの群読を鑑賞した後で再読すると、まったく違ったものとして感じられ、より悲しく、せつなく、また、戦争や平和に対する想いもより強くなりました。これは、皆さんが表面的な英文読解では満足せずに、メッセージを考えたこと、それを伝えるには、どんな表現をすればいいのか、言葉遣いだけではなく,声の使い方、大きさ、速さ、トーン、間合い、を研究し練習して発表に臨んだからだと思います。言葉を使うからこそ、人の心情に訴えかけられるということ、気持ちを伝えられるように言葉を発するには研究心を忘れずに練習を続けることが大切なんだということ、それを再認識しましたので、それを忘れずに、私も高校生を指導していきたいと思いました。

 

みなさんのcreativity があまりに素晴らしものだったので、全部を見終わった後1つ贅沢な願望を抱きました。それは「愛情こめて世話をしている動物を殺さなければならなかった飼育員の人もさぞかし辛かっただろうなあ。飼育員さんフォーカスの作品があると、もっと理解が深まったかなあ。」ということです。そのストーリーはとてもよい内容なので、いつか私の生徒(高校2年生)にも読んでもらって、ゾウさんの気持ちと飼育員さんの気持ちをめいっぱい英語で表現してもらってみようかなあと思いました。そんなふうに思えるほど、良い刺激をいただき、ありがたかったです。

 

ところで、皆さん、チームワークいいですね。また、教室の空気もあったかいですね。これから緊張の時期を迎えるのかもしれませんが、こんなに良い笑顔や声のあふれる教室なら、だいじょうぶだなと感じました。高校でお待ちしています♪