大分のYさんからの振り返り

Yさんが訪問してくれてから,あっという間に時間が経って,4日も過ぎました。

 

時間が経つのは早いもんですね・・・ そして,いよいよ師走・・・ 2014年も終わりそうです。

 

明日は埼玉大学東京学芸大学の長期研修生の3名と,県内の高校の先生が1名来校します。

 

いつも通りの進度でいくと,教科書を扱った授業,になりますね。

 

そのままを見てもらおうと思っています。

 

また,ここが自分にとっての自慢なのですが,自分だけでなく,同僚2名の授業も同じように開いて,同じように見ていただける,ところが最高だな,と思うのです。

 

むしろ,自分よりも力量のある(自分は努力だけは人一倍している,という自負がありますが,悲しいかな,授業力はそう簡単に上がることはなく・・・)2名とともに,3名体制で,訪問してもらう時に,そのまま授業が開ける,ということに大きな意味があると思うのです。

 

カリスマ的な方,また,各地で講師を務められている方も,その先生だけ,はあるかもしれませんが,科として,というところはなかなかないのでしょうか(蒔田先生にお迎えしてもらった時,筑波大学附属中はそうでした!)。

 

いい同僚に恵まれて・・・本当に感謝です。

 

さてさて,いつもどおり前段が長くなってしまいましたが,Yさんから届いた振り返りを紹介します。

 

緻密なYさんらしい振り返りです。

 

Yさん,本当にありがとう!!!

 

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T先生

 

先日の授業視察の受け入れ誠にありがとうございました。本当に初めてとは思えないくらいに気さくに接して頂き,先生の大らかさに感謝の気持ちで一杯です。これまでブログ,コメントなどを通して先生の人となりを我ながら形作ってきました。それが今回の訪問を通して,「私の見る目は間違ってなかった」と確信しました(笑) いくら指導案が良くても,その授業展開を見るまではわからないことが多いと言われますが,今回授業を実際に見させて頂き,先生の日頃の言動と実際の姿を重ね合わせると合点がいくところがとても多くありました。その中で私が実践していく中で取り入れていかなければならないことを多く学ぶことができました。それらの学びについて,自分自身にも言い聞かせながら,まとめとさせて頂こうと思います。

 

今回私は先生の授業を拝見するにあたり,「英語教育」という部分に焦点を当てることにしました。つまりは如何に先生が生徒を育成しようとしているのか,英語の授業を通して何を引き出そうとしているのかという点について授業の中でどのようにされているのかが拝見できれば・・・と思っておりました。私は先生の授業を拝見し,とても温かい印象を多分に受けましたが,それらは以下の要素があるからだろうと思います。

 

授業内外での生徒の活動を肯定的に認め,共感的に理解し,賞賛がなされている。

目の前の生徒の能力に応じたステップを示され,活動が機能している。

教科書の題材内容に教師独自の付加価値を付けて思考の深まりを促している。

英語使用への手立てへのステップが明確で,生徒が意欲的に取り組めるきっかけを与えている。

意思疎通が英語でもきちんとなされている。対話的な交流が継続されることで,教師が持つ上位概念(教育者としての信念,情操)が生徒に伝わっている。

叱られても生徒が納得している。また,そのフォローアップもしっかりなされている。

教師が生徒の豊かな将来を嘱望している。地域の将来を担う生徒を育成している。

 

他にも私が見えていないことが多いにあるものと思います。しかし上記のようなことは簡単なようで,誰でもができるわけではないのではないでしょうか。先生が生徒のことを良く思い,成長していくのを楽しみにされているからこそ授業に対する豊かな思考,実りある実践として結実するものだと思いました。生徒教師の信頼関係の上に成り立っているものがたくさんあるなぁと感じます。その生徒達との結びつきに非常にうらやましさを感じました。先生の実践を参考にすることで私自身,そして何よりも生徒達の成長に還元していけると感じることができましたので,時間をかけてでも出かける価値があったものと判断できました。大変ありがとうございました。

 

授業の展開について先生と協議できればという視点が一点あります。(こうすれば良いのではないでしょうか,などというものではありません。)今回の授業では関係代名詞目的格がTarget Formとして扱われました。(生徒間インタラクションなどの場合でも)TFには今学んでいる事項としてsalientな状態(常に注意を向けておく意識)にさせておきたいと私は考えます。なので初級段階ではsubstitutionにおける自己表現でも,次の段階では自由なコンテクストで自己表現することができるレベルに到達させたいと考えます。そのレベルで教師によるいずれかのfeedbackが入ることで,TFの強化がなされるのではないだろうかと思っております。が,中学生にとってはハードルの高いことでもあります。

 

S1: Now I’d like to talk about the TV program which I saw yesterday.

S2: OK. What is that ?

S1: I saw ….

S2: Please tell me the story of the program.

 

T: What did you talk about ?

S2: Well, we talked about the TV program…

T: TV program which …you like ??

S2: oh, we talked about the TV program which S1 saw yesterday.

T: Oh, I see. …

 

おそらく日頃先生がされていることだろうと書きながら推測しました。(がいかがでしょうか。)TFをも含めたimpromptuな活動ができるように生徒を育成することで,FonFの視点が生かされる場面が多くあると思いますし,そのような展開が日本の各地でなされるようになれば・・・と願っております。そのレベルに生徒を高めていくには,必要な視点が多くありそうだとも感じています。先生の学校の生徒さん達はかなりのレベルにまで高まっているなぁと思いました。

 

 これからも先生とは息長く交流をさせて頂きたく思っています。恥ずかしながら授業DVDを作成しておりますので,近々送らせて頂きます・・・(笑)今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

***

 

Yさんから協議を,と提示してもらったポイントについて考えを書こうと思います。

 

実は,英授研の際に,太田先生から,

 

意味を中心にしたコミュニケーション活動,インタラクションはよくできているから,次の段階は,ターゲットに子どもたちの注意をどう向けるのか,というところだろう。

ということでした。

 

だからこそ,Yさんが見抜いたように,意味を中心に自然なやりとりをしながら,でも,ターゲットに注意を向けられるように留意したつもりです。

 

短いスパンで結果を無理に出す,ではなく,今回のような工夫がなされたインプットを与え続けることで,少し先に,インテイクされたものがにじみ出てくるんだろうと思っています。

どうでしょうか。