教科書の内容理解の授業の在り方について 秋田のO先生との学び合い

新潟のM先生との交流が,次なる交流へとつながり,秋田の中学校のO先生との学び合いをしています。

 

全英連の秋田大会でも発表をされているO先生,尊敬すべき大先輩とこうしてまた学び合えること,本当に幸せです。

 

自分の授業ビデオをお互いに交換し合い,学び合っている,こうしたヒューマンネットワークを通しての学び合いは,もしかすると,一番やっているかな?と思うくらいです(笑)。

 

多くの先生が,自分の授業の弱みを知っています。

 

だからこそ,自分の授業を自分で見ることは好きではないし,他の人にいろいろと言われることもできれば避けたい,と思ってしまうのではないかと思います。

 

そうした一般的な先生からみると,自分は一種異様な存在なのかもしれません。

 

自分がいい授業をしている,誇れると思っているからDVDを送るのではありません。

 

自分がだめだ,と思っていて,本気でコメントしてくれる人から,ちゃんと学ばせてもらいたい,と思っているから,授業を開くのです。

 

打たれ強いとは思いますが・・・

 

 

O先生とやりとりをした様子,これまで何度もメールをやりとりしてきましたが,一部,紹介してみます。

 

質問をされたことに,自分ですっと答えられるか,も自分の中では勝負です。

 

答えられない,ということは,なんとなくただやっている,ということになってしまうからです。

 

自分の授業にコメントをしてもらうと,実は,自分が一番得をします。

 

本当にありがたいです。

 

 

やらないまま不安になるのではなく,みなさんもぜひ試してみてください。

 

本当ですよ!

 

*****

 

 

O先生

 

お忙しい中,貴重な時間を割いてくださってありがとうございます。

心から感謝申し上げます。

教科書本文を扱う際に,子どもたちの気持ちの下がり具合が本当に気になっていました。

それをなんとかしたい・・・と思っていたのが,子どもたちの知的好奇心を刺激すること,

 

●自己関連性,必然性,必要感を持ってもらうこと,

 

その結果,心が動くこと,を目指しています。

 

 

1 インプット量の多さ

 

   教科書本文に入るまでたっぷりのインプットを与えているのが印象的でした。

    キーワードを示したり、動画を効果的に使ったり、

    黒板に絵を描いたりして生徒の関心が途切れないように工夫されていました。

 

    また一方的に話すのではなく、生徒に問いかけ、

    生徒同士で話し合いをさせ、答えさせて双方向の活動になるようにしていました。

 

    いずれも綿密な計画に驚くばかりです。

    生徒は予備知識と関心を十分にもって、

  教科書の内容理解にすすむことができていました。

 

 

ここのところ行っている流れは,毎回こうです。

でも,実はあまり綿密に,ではないように思います。

自分はノートなどに計画を書きだすのはあまり好きではなく,ほとんどしません。

 

やるべきことを箇条書きで書きだすことはときどきします。

 

空白を残し,その余白部分で子どもたちとのやりとりをします。

 

出たとこ勝負,です。

 

そこに意味があると思っています。

その分,短いけれどインパクトのある素材(動画)を探すことには時間を割きますね!

  

2 なめらかなストーリーライン 

 

    題材の背景から、教科書の内容に自然に入っていく流れがおみごとでした。

    生徒への問いかけも中学生として話し合うのに十分知的な質問でした。

   (学ぶことの重要性、ツバルの問題)

 

    チャレンジングな問いかけでしたが、

  生徒は英語で言うことを常に求められているので、

  一生懸命それに英語で答えようとしていました。

   教師が「これは難しいからムリだろう」と考えるのではなく。

    ヒントを与えたりうまく誘導したりすることで、

  一緒に求める表現にたどり着けるのだと驚き、感動し、目からウロコでもありました。

    難易度が高いときには、特定の生徒を指名するのではなく

    みんなでたどり着けるようにすることで、学び合う事ができますね。

 

 

最近こだわっていることです。

 

●英作文をするときにもよく言っていますが,難しい日本語をそのまま英語に訳そうとしない,

 

●簡単な日本語に落とし込んでから英訳していく,という部分と重なるかなあ・・・

 

こうして,プロセスを共有することで,「ああ,こんなふうに進めていけばいいんだな」ということを掴んでほしいと思っています。

 

何度も何度も,ここだ,と思うところでタイムリーに,ですね。だから,いつやるか,は前もって決まっていません。余白,ですね。

  

 

3 開本前の十分な予備知識

    Oral Introduction→CDのリスニング(Q&A)でだいたいの流れを確認したあと、

    先生がPicture Cardsを使ってさらに本文内容の紹介をしていました。

  

  New Wordsなどがあっても言い換えたり説明を補足して分かりやすくしていました。

    さらにTF Questionで内容を確認していました。

    生徒同士で答え合わせをしてから全体で答えの確認、

    Fの場合はWhy not ?と問いかけていました。

  

  開本するまでパターンを変えて繰り返し内容理解の活動をしていることが驚きです。

    それぞれに違った活動の意図があるのだと思います。

 

そのとおりです。

これは,自分自身で編み出した流れです。

稲岡先生を始めとしたコミュニケーション活動の授業の在り方と,

自分なりにリンクするように・・・と思って考えだしました。

   

  開本してからも音読をさせずにCDを聞かせていました。

    「十分に分かっているだろうけど、もう一度意味の再確認」ということでしょうか?

 

それもありますが,

まずは音声から意味を想起する,ということを行った後に,

 

・音と文字を結びつける

 

・文字と意味をも結び付ける

 

という作業をさせたいと思っています。

 

自分が韓国語の初心者の学習者だったら,見慣れないハングルに対して,このステップ,したくありませんか?

  

4 New Words

  

  フラッシュカードで発音と意味を確認していましたが、

    1回目はリピートしないで単語を見せていました。

  音と文字を結びつけるためでしょうか?

 

まったくそのとおりです!!

 

 

5 基本文

  

  板書してノートに書き写し。

    意味を確認するときに、文頭からスラッシュで訳す方法と、

    日本語として自然な訳の両方を確認していました。

  

  大修館の英語教育11月号で、東洋学園大学の大西先生が

    文法・読解が話すことに結びつかない原因を書かれていましたが、

    なるほど、この両方を区別して指導することで

    コミュニケーションにつながる文法・読解になるのですね!

 

 

これも最近意識していますね!

 

    

6 生徒の様子

 

     先日拝見したDVDでも強く感じましたが、

     生徒と教師、生徒同士の人間関係のよさがとても感じられますね。

     一例として、拍手が自然でしかも上手。

  

   「拍手は人間がつくり出す最も温かい音」と生徒によく話します。

     でも、なかなかあのDVDにあるような拍手にはなりません。

     きっと認め合う機会を先生が意図的につくられているのだと思いました。

 

     英語で発話することを常に求めておられるのがよく分かりました。

     先生の誘導の仕方がとても上手で、生徒は難しくても英語で・・・

   が身に付いていると感じました。

 

ありがとうございます!

普段は生徒にからかわれ,いじられていますが(苦笑)・・・

現任校のお子さんを預かっている,ということも大きいと思いますが,

こんなものはできないのでは?と自分で勝手に決めず,まずは

 

「やってみな!(笑顔で)」と言ってみるようにしています。

 

自分で日頃一緒に学び,導いてきたことがあるので,「できるはずだ!」と思うのもあるのです。

 

7 質問

  

 (1)生徒に課している予習・復習はありますか。

 

現任校の子どもたちの校外での活動は非常に忙しく,大変です。なので,極力負荷をかけ過ぎないようにしています。その分,学校でしかできないことをたくさんさせようと思っていますし,濃い学習をさせています。(聴く,やりとりする,など)

 

予習は,新出単語調べだけです。(辞書から例文を探して写すも)

 

復習は,ワークブックをさせますが,テストのときにまとめて回収するように,しばらく先の提出期限を示すようにしています。自己管理ですね。

 

 

   (2)生徒が単語や本文をノートに書くように義務づけていますか。

 

(1)で答えた通りです。

 

単語だけを単体で書かせず,その分,英作文など,コンテクストのある中で使わせることで書かせます。授業中に,です。

  

   (3)この単元のゴールは何ですか。

 

教科書の内容理解がまずはありますね。新出言語材料を使ったコミュニケーション活動をさせますので,そちらの目標もあるでしょう。基本は,教科書の指導書にあるものばかりです。

 

ただ,そこから感じた,考えたこと,これから自分が何をしていくべきか,を考えさせること,そして表現させること,は,書かれていない目標として私の中にはありますね。

  

   (4)この単元の指導計画時数はどうなっていますか。

 

特に,指導書と変わりはありません。

  

   (5)VTRではまだ音読をしていませんが、続きの時間はどのように進みますか。

 

音読は,どのくらいの回数が必要か,は,目の前の生徒の実態に寄ると思います。音読を,コミュニケーションのための音声のトレーニングとか,新出言語材料の含まれた文を何度も読ませることで,自動化に近づけるため,とか,いろいろありますね。

 

ただ,現任校の生徒たちにとっては,それはそんなに必要ないな,と感じています。

 

その他の部分(例えばコミュニケーション活動の中で使わせるなど)で行っていると思います。一方,何度も読ませるとすると,現任校の生徒たちは心が入りません。

 

creativeなものが本当に好きなのですね・・・

 

その分,新潟のM先生とコラボで行っている群読のときの朗読などは,こちらがはっとするくらいすばらしいものを創ります。これはDVDを見せたいくらいです!!

 

次の時間の冒頭に,3段階音読をしました。

 

1 教師の後について(教科書のモデル音読は,平坦なので,まずはいつも教師です)

 

2 個人読み(対話文ならペアで,役割を交代しながら)

 

3 オーバーラッピング

 

これはいつもそうです。

  

   (6)内容理解の授業のパターンはどのような流れですか。

 

 今回の通りです!

 

  

   (7)リスニング中心に内容理解をすすめていましたが、

     生徒が各自、黙読をして内容理解することはありますか。

 

毎回こんな流れです。黙読に関しては,ここ最近は留めていますが(今回のように意味のある教科書の授業をしたい方向に時間を使いたいので止めている),

 

少し前まで,毎時間,じゃれマガを使って多読をしていました。そこでは黙読をさせています。役割分担をバランスを考えてしています。

 

 

   (8)教科書の文よりずっと長い高校入試の長文問題に向けて

     どのような指導をされていますか。

 

(7)のじゃれマガを活用して,毎時間多読をしていきました。短い時間で集中して読む,ということが,長い文への読みに生きると思っています。