拙授業を通した学び合い -長野のKさんからのコメント

全国に目指すべき授業の根っこを共有する仲間がいます。

 

嬉しいことですよね!

 

そして,子どもたちへの深い愛情をもった仲間でもあります。

(自分はどうなんだろう・・・)

 

8月8日の英授研全国大会で提供する授業DVDを,盟友Kさんから送ってほしい!という連絡をいただいて,彼のもとに送りました。

 

その後,Kさんからの振り返りが届きました・・・

 

じーん・・・

 

Kさん,本当にありがとうございます。

 

本当に遠く離れているのに,こうして一緒に学び合って,切磋琢磨し合っているのが嬉しいです。

また,優秀な仲間と学び合っていることも,自分を高めるために本当に有意義なことだと思います。

 

勉強になります!

 

みなさんともシェアさせてくださいね!

 

***

 

T先生の授業を拝見させていただいて

 

本日、授業DVDを視聴させていただきました(感想を送るのが遅くなりすみません)。

 

授業を見させていただいて気付いたことを6点述べます。

 

以下、気付いたこと6点…目次みたいなものです。

 

  1. 授業がstudent-centeredになっている
  2. 生徒の「雑談力」がつく授業
  3. いい意味で「研究授業」っぽくない
  4. 「おおらかさ」がある
  5. 小さく小さく~そぎ落とし~
  6. 書くことで「まとめる」・「まとまる」

 

  1. 授業がstudent-centeredになっている

T先生が自分のことを語り(自己開示し)、生徒にもお弁当のメニューや好きな飲み物について話したりすることにより、生徒中心の授業展開になっています。

何気なく見えますが、勇気がいることだと、個人的に思いました。

私だと、研究授業ということで、とかく力が入り、content-centeredな授業(教科書の単元に関連した教材などを投げ込み教材として提示し、小難しい授業にしてしまう傾向が自分にはあるからです)にしてしまいがちだからです。

肩ひじ張らない話題のお弁当のメニューや好きな飲み物についてのことを生徒と対話すること…中学生には、このようなトピックが大切だと改めて思いました。

教師は、学校という場所の教室や廊下で生徒と「へぇ~、そうなんだ」とか「うそ~」とか言いながら対話することがあると思いますが、それに近い対話が英語の授業でされているから、Teacher Talkが作られたようなものではなく、生徒との対話になっているなぁと思いました。

こういう対話があるからこそ、生徒主体となり、Apple Juiceと答えていた男子生徒やこの生徒と対話していた男子生徒の英語による自己開示につながっていったと思います。

何気ない対話ではありますが、あれを中学校2年で「サラっと」やっているのが素敵です。私が教えている学級では、なかなかあのような感じになりません。う~む。

 

  1. 生徒の「雑談力」がつく授業

30分車に乗ってどこかに行く際に、隣に座っている人と30分話を続けたほうがよいという状況を想定した場合、必要な「力」はと問われたら、おそらく「雑談力」と私は答えると思います。

こういう場面で、上手に会話をつなげられる人とそうでない人がいます(私も苦手なんですけど…)。

先生として、こういった力がある人は「飲み会」の場を盛り上げられる人だと思います。

明石家さんまさんみたいに、上手に人を巻き込み(つなげ)、話題を伸ばしていく人は、「雑談力」がある人だと思います。

この「雑談力」がある人は、コミュニケーション能力にも長けていると、個人的には思います。

なぜなら、雑談をつなげていくためには、何の話題を話そうかと選択し、相手によって表現や言い回しを選び、判断して雑談を続けていくからです(ここに「思考力」「判断力」「表現力」がすごく絡んでいると個人的には思います)。

 

生徒は、お弁当のメニューと飲み物を話題として、提示してもらったターゲットセンテンスをもとに対話をしていっていますが、この中で様々な場面で選択し、判断をして表現を使っていく場面が授業の中にありました。

したがって、生徒が「言葉を紡ぎ出している」感じがしました。

これは、ワークシートをもとにした授業では出ない感じですね。

T先生が作成されたワークシートなどから脱却し、生徒同士のリアルなコミュニケーションの中で、長期的なビジョンの中で生徒に力を付けていこうという思い切りがあるからこそ、うまくいっている気がします。

 

  1. いい意味で「研究授業」っぽくない

私なんか言えたことではないですが、「研究授業」っぽくない授業とお見受けしました。

だからとっても自然な授業に見えました。

つまり、普段の授業と同じなのだろうと思いました。

ビデオが回っていて、T先生の他に(おそらく)2人の先生がいても、先生も生徒も肩ひじ張りすぎていない感じがしました。

映像を通しての感覚的なものなので、実際にはわかりませんが、何か自然な感じがしました。

 

研究授業の公開となると、(私も含めて)多くの教師がカットする新出言語材料の確認もされていました。

この部分が結構印象的でした。

指導案の(4)展開における新出言語材料の確認の場面で、T先生が板書し、生徒が英文を写したり、生徒がペアで話し合ったりして、気付いたことを共有し合っていました。

私の授業でこのような流れにすると、授業がぶつっと切れる感じがするのですが、不思議に切れていない、つながった感じがしました。

普段と同様にされているので、自然な感じなのでしょうね。

 

  1. 「おおらかさ」がある

私の授業だと、こまごましたミスなども指摘して、すぐに修正させるところがあると思います。

几帳面で丁寧と言えばよいかもしれませんが、何か細か過ぎる感じがしています。

最近のT先生の授業を拝見すると、思い切って、「どかん」と構えている感じがします。

ちょっとしたミスや指摘したいことがあっても、その場で指摘しないときもあると構えている感じがしました。

だから、ペアでの対話の2組目(女子生徒二人)も、のびのびと対話していました。

スターバックスで抹茶ラテを飲むと言っていた女の子に対して、How often?と聞いたペアの女の子に対し、Once a month.と言葉を紡ぎだす場面がありました。

T先生は、この女の子同士の対話を称賛し、特に質問をし続けて、対話をつなげていたことをほめていらっしゃいました。

このペアの前の男子ペアよりも内気そうな女の子同士のペア…でも、きちんと対話を続けていましたね。

指導案の中に目標の項目があり、その項目の中でも2つの観点がありました。

一つは、表現、そしてもう一つは意欲。

この「意欲」を引き出す評価の具体が、この女子ペアのような生徒への言葉がけでしょう。

T先生の「おおらかさ」がこのペアの発表につながっていたと思いました(英授研の本の中で紹介されていた加藤京子先生の一年生に対する指導…たしか三人称単数現在の指導をすぐにはせずに、時間をおいてする指導について書かれていたと思うのですが、何か共通しているなぁと思いました)。

 

  1. 小さく小さく~そぎ落とし~

春のELECの研修の際に、T先生としてはたくさんやりたいことがあるが、ある程度削って時間を生み出すというお話をされていました。

その結果、生み出している時間を、基礎英語を聞く活動にあてるなどしているというお話をされていました。

このそぎ落としの作業をされていることからもわかりますが、教師として授業に出る場面をいい意味で「小さく小さく」されている感じがしました。

ちなみに、この「小さく小さく」とは、私が尊敬する柳家小三治という噺家座右の銘です。詳しくはhttp://www.nhk.or.jp/professional/2008/1014/をご覧ください。

 

第100回 柳家小三治(2008年10月14日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀

 

  1. 書くことで「まとめる」・「まとまる」

先日、長野県の英語教育団体の研修で、文部科学省の直山先生をお呼びし、講演しいていただきました。

小・中の接続という点を中心にご講演いただきましたが、この際に、長野県のとある先生の授業のご指導をほんのちょっといただきました。

「話したことをノートに書くようにするとさらによいですね」というご指導がありました。

このご指導のお言葉のあとに、T先生の授業を見たので、「う~む、やっぱり自分の授業にも必要だなぁ」と改めて思いました。

 

・板書されたターゲットセンテンスを書いて、まとめる。

・トピックについて友と話したことを書いてまとめる。

・そして、書くことによって自分の思考がまとまる。

 

こんな3点のよさがありますね。

また、話した後に書くことで、本時、モニタリングができなかった生徒に対しても、使用している語彙や英文において修正や改善のアドバイスができますよね。

授業中にほめてあげられなかった生徒にも、「ここがよかったよ」という称賛のアドバイスもできます。

ワークシートとは違い、ノートは、これまでに書いてきた英文を見直し、振り返りできることもよさだと思いました。

 

 

新潟のM先生が書かれた感想や秋田のO先生が書かれた感想、岐阜の先生の感想が出ており、そちらの方からすでに学ばせていただいたことが多いので、あまり多くのことを語れませんが、以上のことがらに気付きました。

 

多くを学ばせていただきました。

 

ありがとうございました。