Ole! 教育実習生 #4 -小研究授業で見せたBreak Through

f:id:takaenglishteacher:20150915110613j:plain 小研究授業を終えて

 

指導している3人の教育実習生の小研究授業が終わりました。

 

コミュニケーション活動を中心とした授業で,言語材料は,to不定詞の名詞的用法の導入から習熟,ペアによるコミュニケーション活動へと進む50分を,それぞれの思いや願いを生かして構想し,実践しました。

 

指導教官として,それぞれの思いや願いを生かして,というところを特に大切にしました。

 

生徒たちが言語材料に触れる,「出会い」をどうプロデュースするのか。生きた文脈,場面をどう設定するのか。

 

その際,教育実習生の自己開示をベースにして,authenticなトピックを扱うようにしました。

 

●教育実習でずっと真剣に取り組んでいて,毎日みんなと過ごせて楽しい・・・でも,正直疲れているんだよ・・・

 → 何か甘いものが食べたいんだ・・・

 → When you're tired, what do you want to eat?

 

●教育実習が終わって,シルバーウィークが来たら,どんなことをしたいか・・・ずっと実習で考える余裕もなく,プランがない。親友たちで集まるんだけど・・・

 → どこに出かけたらいいかな・・・

 → Where do you want to go during silver week?

 

 ●市内のショッピングモールに行くのが好きだけど,モールの中のどこに行くのが好きかな? ハンバーガーショップなんだけど,モールの中に何軒あるか知ってる? そこで何を食べたい?

 → When you go to Bell Mall, where do you like to go? / What do you want to do there?

 

 

それぞれの「自分らしさ」がにじみ出るような導入で,子どもたちが身を乗り出したり,提示される写真み魅入ったりしながら教育実習生の英語によるインプットに耳を傾けていました。

 

改めて授業を客観的に,学び手である子どもたちと同じ目線で観察すると,やはり,こうした「傾聴」を生み出せるかどうかのポイントがあると思いました。

 

●休み時間も含めて,子どもたちとともに過ごし,子どもそれぞれを理解し,関係を構築しようとしているかどうか

 

●言語材料がどんな場面で使われているのか,生きた状態で提示しているかどうか,教師の語りにauthenticityがあるか

 

でしょう。

 

このあたりは,実践家である我々だからこそできることだと思います。

 

研究は熟知しているが,評論家のようである,そんな存在では実現できないことだと思います。

 

それは,稲岡先生が言われるところの,「愛」に通ずることだと思います。

 

これらが働いているインタラクションは,みんながあたかも,日本語で雑談をしているかのように聞こえてきます。

 

説明的な,また,擬似的な状況ではなく,自然と無理のない形で繰り返される言語材料に触れながら,子どもたちはそれらの意味と使用について推測していきます。

 

教育実習生は,単に:

 

Oh, you like ●●●.

 

で終わらずに,

 

Oh, you like to eat ●●●.

 

と自然にrecastしながら,子どもの耳と心にターゲットの響きを残していきました。

 

 

言語材料がどんな意味なのか,子どもたちの気づきを引き出した後で,自然な形でペアでの対話に進んでいきましたが,トピックに親和感を覚えているので,子どもたちは意欲的に対話をしていきます。

 

デモンストレーションをさせてみると,対話を自然に継続している姿が現れてきます。

 

教育実習生たちは,それぞれのTeacher's Action Zoneを拡大し,教室の隅々まで歩きながら,個々の生徒の学びの様子をサポートし,モニタリングできるようになってきているので,デモンストレーションさせるペアも,意図的に選んでいるのです。

 

それができているので,迷わずに指名ができている上,デモンストレーションの後にも,必要だと感じられることを全体で共有しようとしていました。

 

たった2週間余りで,ここまでできるようになってきたんですね・・・

 

感動です。

 

シャイな教育実習生も,今日の笑顔は最高で,いきいきとした声を出して生徒とインタラクションを行っていました。

 

終了のチャイムを聞いて,大粒の涙をぽろぽろとこぼして大きな安堵感と,いくらかの達成感に浸っている姿に,こちらもここまで関わってきて良かったな,と強く感じました。

 

 

教育実習生それぞれのポテンシャルもあろうかと思います。

 

でも,個々の生徒に接しているのと同じように,それぞれの伸びを限定させてしまうのは,指導教官であるこちらであると思っています。

 

研究授業をやりとげた彼ら一人一人の姿に,自分自身を重ねつつ,しみじみそう感じました。

 

彼らの授業での姿を見ながら,自分に足りないものにもたくさん気づき,彼らの柔軟な発想から学ばされることもあり,ますます授業改善への道を前進しようとするエネルギーをもらうことができました。

 

未来の先生である彼らに関わることができて,今年も本当によかったです。

 

残り3日間,最後まで真摯に!

 

 

Ole! 教育実習生!!

 

 

今日はお互いに,早く眠ろうね!!!