音声指導に纏わるエトセトラ

 

英語教育 2015年 11 月号 [雑誌]

英語教育 2015年 11 月号 [雑誌]

 

 

音から意味へ,そして音と文字の関連へ・・・

 

今年とても意識してるのが,例えば教科書を開本する前に,そうしたステップを大事にすることです。

 

1時間の中で考えると,指導の流れを少し変えたくらいかもしれませんが,年間を通して,となると,子どもたちが現実場面で英語に触れ,直読直解につながっていく流れを100回以上積み重ねることになります。

 

まずはリスニングポイントを提示してから(文字を見ずに)聞かせる,

(要点を理解しよう,ポイントを掴もうとして聞く)

 

ということから始まるわけです。

 

音読の前にも,まずはモデルをしっかり聞く,ことから始めます。

 

意外と実践されていないのではないか,と思うのです。

どうでしょうか。

 

先生である自分が,たとえば英語以外の未知の言語学習者となり,初めて見る単語をいきなりListen and repeatさせられたらどうでしょうか。

 

当たり前にたいへんだと思います。

でも,そうしたことを生徒に(無意識に)強いているのではないでしょうか。

 

こうした意識もあり,今年教えている生徒たちは,これまでに比べると,個別の単語の発音などではずいぶん成長してくれたように思います。少なくとも意識が違う(まだうまく発音できるまでに至らなくとも)ということは大きいと思います。

 

一方で,文レベルになったときに,英語のもつピッチにどうしても乗れず,国語の時間の棒読み音読のように,1語1語ごとに区切りを入れて読んでしまうようなところが課題だと思っていました。

 

英語教育11月号の中で特集されている「発音ブラッシュアップ講座」を読んでいて,これだ!と思った記事がありました。

 

龍谷大学准教授の里井久輝先生の書かれた,「文レベルでの発音」プロソディ,です。

 

日本人学習者にもとっつきやすい,取り組みやすいような概説をしてくださっています。

 

具体例としては:

 

It's hard for me to say I love you.

 ・  ●  ・  ・ ・ ●  ・ ●  ・

 

を取り上げておられます。

 

私の指導の中でも,これまではこうした強弱の繰り返しや,チャンキングのことは取り扱ってきたのですが,

 

It's hard for me to say I love you.

 ・  ●  ・  ・ ・ ●  ・ ●  ・

 

「文中の強勢とその次に表れる強勢との間の長さを等時的に保持しようとする傾向(inter-stress isochrony)」

 

については触れてきませんでした。暗示的にこちらがそれらしい読みをモデルで示してまねをさせてきたかもしれませんが,こういうものなんだよ,という明示的な指導は全くしなかったなあと思います。もちろん,私自身が不勉強でこうしたことが頭の中から欠落していた,とも言えるのですが・・・

 

もちろん,中学生相手なので,このまま難しいことばを提示しませんが,教科書の音読をさせている中で,本文から具体例を挙げて取り組ませてみました。

 

上の例で言えば,

 

It's hard  | for me to say   I love you.

 ・  ●      ・  ・ ・ ●       ・ ●  ・

 

の3つの部分が均等な速さで読まれる,ということです。

 

みなさんも意識して読んでみてください。

 

とたんに英語らしくなりませんか?

 

 

子どもたちにも,1文を取り出して読ませたところ,一生懸命に練習していました。

 

新しい発見があると,子どもたちは意欲的になりますね。

 

 

みなさん,どうですか?

 

もしまだ指導をしていなかったら,ぜひ取り組んでみてくださいね!