金沢で気づいたこと・学んだこと 国語と英語
大宮からの北陸新幹線
空き教室
長い海岸線をドライブ
海の幸
金沢での様子です。
研究会,そしてその後のレンタカーでの小旅行も,夕食のおいしさも,本当に心に残るものでした。
研究主題はESD,持続可能な開発のための教育です。
ここではESDについて詳しく説明することはしませんが,研究会が行われた学校では,教科を越えたユニットを構成し,共通のテーマについて連携しながら授業を展開していく研究・実践を行っていました。
今回注目したのは,「言語」というつながりで結ばれた,国語科と英語科のコラボレーションでした。
星新一さんの:
アニメ 星新一 ショートショート おーい、でてこーい - YouTube
です。
まず,1時間目の英語の授業でNew HorizonのCan anyone hear me?を扱いました。
セクション2までの内容理解を終えた後で,その後の展開を自分なりに考えます。与えられた時間の中で自分なりに考えたことを3文程度の英語に直していきます。
そして,4人の小グループになり,お互いのアイデアを交流させたり,英文の誤りを修正したりし合いました。
その後,指名された生徒が自分のアイデアを発表しました。
授業の結びで,セクション3の内容が配布され,実際のストーリーの結びに触れて1時間が終わりました。
2時間目は国語の授業でした。
英語の授業を受けてスタートしました。英語の時間で使った英訳されたものを再度取り上げます。
原典の日本語も示しつつ,本文中の2つの文だけは日本語を示さず,それを自分たちの力で訳していくという課題が与えられました。
Can anyone hear me?
また,原典にはない,最後の結び(落ち)である,
It was the stone.
という2つの英文です。
課題が明確で絞り込まれていたこともあったことや,特に2つめの英文を:
It was the stone.
としたことで,間に込められた意味がどんなことなのかを想像する,という課題になっていて,子どもたちの知的好奇心を刺激するものになっていました。
母語である日本語が使えることもあり,子どもたちは豊かに語り合って,想像力を働かせ,思い思いの訳を導き出していました。
グループの中での対話の様子は,本当に印象に残っています。子どもたちが意見を交流させている姿は,特によかったです。
また,同じ「言語」という括りで結ばれている2教科ですが,違っている・・・と強く感じたことがありました。
授業の始まりも,あいさつを済ませると,すぐに課題の提示がなされました。
そして注目すべきは,教師と生徒のやりとりです。
英語の時間では,生徒に発問を投げかけた後,彼らからの応答があった後に,ほとんどの場面で:
Very good.
で終わっています。
研究主題は「言語」,教科を越えた結びつき,だと思います。
ただ,教科の本質は変わらないと思うのです。コミュニケーション能力を育成することがゴールなのです。
生徒と英語を通してコミュニケーションを展開することなしに,それは達成できないと思います。
生徒からの反応があっても,それを受ける教師側が評価的に受けると,対話にはなりません。
一方,国語では,授業の冒頭から先生が柔らかい語りで前の時間のことを振り返ります。子どもたちを巻き込みながら自然な対話を生み出していきます。
英語の時間にはほとんどなかった柔らかな表情が見られ,笑いも起こりました。
先生も,生徒の発言を受けると,それに対して善悪の評価をすることはなく,生徒がなぜそう考えたのか,そして,生徒自身がその考えに至る道筋を言語化することで,自分の考えをさらにくっきりしたものにしていくプロセスを準備していました。
英語の時間でも,
Why do you think so?
Tell me more.
などを使って同じような言葉のやりとり,いや,意味のやりとり,コミュニケーションが展開できる,と思います。
それが2時間連続で見られたことで,ことばの教師として,子どもたちの発言をどう受け止め,対話を展開していくのか,授業を展開していくのか,を考え直すことができました。
授業展開通りに流していくために,そのためにプラスになる発言を評価的に受け止めるのではなく,本当のやりとりをしないと・・・
そう強く感じました。
子どもたちが自分の考えをまとめるまでに,英語では本当に長い時間がかかることもよく分かりました。
個で考える時間,そしてグループで話し合う時間,英作文を仕上げていく時間は,国語でのそれに比べると,圧倒的に長い時間が必要だということです。
それを想定して授業を構想することの大切さ(短期決戦で焦ってそれを求めない)も。
貴重な気づきを与えてくれた今回の訪問,本当に勉強になりました。
本当にありがとうございました。