今日の授業の一瞬の出来事,そしてそこから感じたこと
2学期の終わりに生徒が書いて提出した教科担任の授業評価の中に,こんなことを書いている生徒がいました。
「先生の指名は偏っている」
指名については常に意図をもって,くじや出席番号(=その日の日付)などによる指名は行わないポリシーをもってきましたが,鋭いコメントにのどがごくり・・・
それからしばらくした3学期の頭,そのコメントを書いた生徒と廊下で出くわしたので,これはチャンス!とばかりに,そのコメントをした真意をストレートに聞いてみました。
「先生がみんなを指そう,としていることは分かります。でも,質問する内容に偏りがあると思うんです。問題をただ読むことばかりを指名されている人がいると思うんです。」
本当に鋭いなあ・・・
その通りだ! そう感じました。
英語が苦手だ,と感じているだろう生徒にも発言のチャンスを,と思いつつ,難易度の高い質問をしたとき,その子が答えられなかったら・・・
ともしかすると無用な心配をするばかりに,発言の機会を与えつつも,難易度の低いものを与えていたのです。
その生徒は,自分を指名してほしい,とは全く言わなかったものの,私なりには,自分も挑戦をする機会がほしい,そう思っているのかな,と感じました。
そんな中,佐伯胖先生のご著書を読んでいる中で,
「学習者は,自分の存在が他に変化をもたらすと自覚することで,意欲づけられる」
というようなことが書かれていました。
たとえ自分の発言が誤っていたとしても,不十分だったとしても,そのことをきっかけに,授業に変化を与え,その流れに寄与できたなら,その生徒は意欲を感じることもあるでしょう。
「きっかけを作ったのは自分だ!」
という思いです。
今日の授業には,先ほども話題にした小田原のOさんが参観者として教室にいる状況でした。
比較表現を学んでいる中で,新出言語材料better, the bestの導入をしていました。
Which do you like better, summer or winter?
というオープンな質問への答えを求めて発問をし,上で触れた生徒を指名しました。
すると,
I like summer better than winter.
という答えが返ってきました。
さらにWhy?と返すと,
Because I like swimming.
と答えました。ここまででもがんばっている,ところなのですが,
私がおお,っと思った瞬間は,その後のやりとりと,そのときのその生徒のいきいきとした笑顔でした。そんな笑顔は,これまで授業で見たことが一度もなかったのです。
Oh, you like swimming, but I think you can enjoy swimming in winter. It's Kanchu-Suiei.
このとき,授業中ではありましたが,佐伯先生が書かれていたこと,そして,その生徒が自分に伝えてきたことが瞬間的につながったのです。
これだ!
どの生徒も(微力な自分にはできるかどうか分かりませんが)大事にしたい・・・
そう改めて感じた瞬間でもありました。
大瀧 詠一 (Eiichi Ohtaki) - 君は天然色 (Kimiwa Tennenshoku) (1981)
さっき見ていたテレビで,この曲の詩は,作詞を担当した松本隆さんが,若い妹を亡くした後作詞ができずに苦しんでいた後,大滝詠一さんから「松本でないとだめなんだ,いつまでで待つから」と言われ,数カ月後に書きあげたものだと言うことが分かりました。
妹さんが書かせてくれたと思っている・・・と松本さんが言われているのを聞いて,なんだかじーんと来ました・・・
今日のインスピレーション,その生徒が与えてくれたことだなあ・・・と思って,貼ってみました。