脱・実験室の中の研究! 実践との融合を目指して!
共同研究にかかる本を(歯を食いしばって)読んでいます。
- 作者: 小町将之,磯部美和,大津由紀雄,藤澤啓子,木島伸彦,大村彰道,伊藤貴昭,藤谷智子,山森光陽,伊藤美奈子,並木博,米倉康江,篠ヶ谷圭太,松沼光泰,安藤寿康,鹿毛雅治
- 出版社/メーカー: 慶應義塾大学出版会
- 発売日: 2013/05/09
- メディア: 単行本
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中でも,鹿毛先生の本,そして,多田先生の本は,現場で教えている自分たちにとって,本当に分かりやすく,本当に読みやすい本です。
難しいことをやさしくかみ砕いて書くことが本当に難しいと思う中,見事だな,と思います。研究内容についてこれから理解を深めようかな,と思っている現場の人間にとっては,それが本当に重要なポイントです。
難しすぎると,読む気持ちが萎えてしまうのです・・・
「本当に,現場の人間に届けようと思っているのかな???」
と思ってしまうこともあります。
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書かれていること(研究内容等)について思うこともあります。
教室で起こっていることを理屈で,理論で解明しようと思うと,本当に難しいことはよく分かります。
いわゆる「変数」が多すぎるからです。
英語教育に関することでも,そうです。
SLA(第二言語習得)研究についてもそうです。
SLA研究が進み,明らかになってきていることもだんだんに増えてきていると思います(拙い私は,その理解もまだまだでおぼつかないことばかりですが・・・)。
実験室的な,制限を加えた環境で,「変数」をできるだけ絞り込み,焦点化を図って研究することも大切です。その積み重ねなくしては,SLAの解明もないと思います。
でも,言葉の習得過程を本当の意味で明らかにするまで,あと何年待っていればいいのでしょう???(脳の中を見る!)
だからこそ,山形大学附属から転身して,カナダで博士課程をおさめているOさんのように,より現場に落とし込める実践的なことを(SLAの解明までのつなぎとしても重要だし,現場で生かせることが増える! → 子どもたちに生きる!)より一層追究してもらいたいな・・・と願わずにはいられません。
そんな取り組み,特に,日本のような環境でのSLA研究(=現場に根ざした)がますます増えていくことも!!
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上に紹介した本は,英語教育,だけにとどまらず,学校教育全般をマクロに見つめ,私たち教師が,いったいどんな子どもたちを育てていかなければならないのかを教えてくれます。
それが分かっていて,こその,教科の授業なのだと思うからです。
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そうした視点で英語の授業を見つめ直すと,これまで取り組んできたことが,本当によかったのかな?と考えさせられます。
英語の習得を目指して,まずは基礎・基本を理解させ,定着させ・・・に終始するような・・・
その先に何があるのか,が見えないような・・・
手先の指導テクニック!?
(私たち教師はこれまで,授業で子どもたちに)「答え」=「正解」を求めさせることに終始してきたのではないか
同時に:
世界はあらかじめ存在する有限個数の「正解」が静かに眠る広大な原野ではなく,僕たちが「問い」を発するとき,その「問い」に対して「答え」を返してくれる(実際には僕たちが見出す)だけの存在である。
したがって,「答え」は「問い」の数だけ存在するのであり,人類が探究の営みをどれだけ永く,また壮絶に続けようとも,すべての不思議が解き明かされ,「答え」が尽きるときは永遠に訪れない。また,「答え」は「問い」の質に全面的に依存するから,それは唯一絶対の普遍な「正解」などではなく,常に個別的な「問い」に対する「応答」,つまり,「応え」ないしはその時間的,空間的制約状況における「最適解」でしかない。
「答え」をこのように考えるとき,教育において最重要の課題は「問い」を発する力の育成ということになるであろう。僕たちが手にする「答え」の質が「問い」に依存する以上,その時点,その状況下において,いかに意味のある,有効で洗練された「問い」,つまり「最適」な「問い」を発することができるか,この点にもっと注意を払うべきではないか。
身の回りにある様々な課題が,容易に解決できるものではない,
そもそも,問題が発生しているが,その中で何が課題なのかすらもはっきり分からない,
ような状況に生きている自分たちだからこそ,単純に答えを出す(=基礎・基本の知識だけを身に付けてどうにかなる問題ではない)ことばかりを求めていていいのか,ということになると思います。
嗚呼,やっぱり分かりやすく書くのは難しい・・・
自分で言っていて,自分で難しくしてしまいました・・・