拝啓 太田 洋 先生
ご本人には届かないと思いつつ・・・
英授研で提供させていただいた授業を見ていただき,その後,休み時間等,控え室で太田先生からいただいたことばをかみしめています。
「Tさん,ここからはTさんが意識していくといいなあと思うところはねえ・・・」
と,いつものように穏やかに,柔らかに語ってくださいました。そのポイントは:
●意味を中心にやりとりをしていく今の流れを大切にしながら,その中で,本時のtargetに関して,いかに生徒の気づき,注意,学びを引き出していくか
ということでした。
ただ単にinteractionをしているだけでは,新出事項の習熟にはなかなか結びつかないからです。
本時で初めて接することになる新出の言語材料であるため,その時間中にintakeされ,マスターされていく,ということは難しいでしょう。
先生が繰り返しその言語材料を使い,生徒が触れることのできる機会を創出し,少し先に,自然と子どもたちの中からそのtargetが使われるようになるのが理想です。
でも,その裏には,習熟のための練習として,授業中の反復練習や,ワークブックを使った宿題など,さまざまな取組は必須でしょう。
でも,ここで太田先生と話していたのは,そうした事後の強化策,ではなく,本時の,また,英語を使ったやりとりをしているときに留意することです。
今回の授業であれば,call A Bを生徒が使うように,先生が仕向ける(手だてを講じる)ことです。
使えそうで使えない生徒がいたら,先生がprompt(促す)してみたり,
他の表現を使って発言をした生徒がいたら,先生がrecastをして新出言語材料を使った表現に結びつけたり,
することです。
そんなことを考えながら,昨日は,勤務校の校内授業研究会に臨みました。
研究主任として,それを統括する立場ではありましたが,音楽科の授業を参観し,事後研究会に臨んで,多くの気づきがあったのです!
それは,チェコ出身のスメタナが作曲した「モルダウ」(今は違う名前で呼ばれています。歴史観の点で,彼が呼んだチェコ語で表現されるべきだということで・ここではみなさんが以前学んで分かりやすい呼び方で表記します)を鑑賞していたときでした。
先生が生徒に投げかけます。
「このパートを聴いて,どう感じましたか。感想を聞かせてください。」
生徒が答えると,先生は追加で発問をします。
「どうしてそう思ったの? 聞かせて」
生徒は,楽譜に書かれた記号を読み取りながら,または,使われている楽器の名前を挙げながら,根拠を挙げて自分の発言を膨らませていきました。
「●●なので,・・・・と思います。」
を引き出す,先生の追加発問は,英語の授業と同じだと感じました。
また,ここからが太田先生の指摘と重なる部分なのですが,
「●●くんは,スラー(という記号)に触れながら発言してくれたけど,記号を見ながら曲を見つめてみる,という観点もありますね。」
「どんな楽器が使われるか,また,その楽器がどんな音を出す役割を担っているか,を考えることで,曲の聞こえ方が違って,広がっていきますね。」
というような先生の投げかけが,発言した本人の気づきはもとより,聞いている子どもたちの気づきを促すのだなあ・・・と思ったのです。
拝啓 太田 洋 先生
いつもありがとうございます。
視点を提供してくださったおかげで,授業の見え方が変わってきました。
英語の授業に,還元していきます!
また授業を見てください。
お願いします!