即興での対話をメタ的に見つめ直す -i-padを通した気付き
先日も紹介したi-padを通した実践の続編です。
これまで,ペアでの対話を行う場合,全てのペアが同時進行で対話を行う,という形が多かったのではないでしょうか。
例えば,30人学級の場合,15ペアができるわけですが,よーいどんで,15ペアが一斉に話す,ということが多かったのではないでしょうか。
というのも,体育で言うところの運動量を確保することと同じ発想で,たくさん英語でやりとりをさせることが大事だ,ということが大事にされてきたと思うのです。
ただ,自分たちがどんなパフォーマンスをしているのか,を知る機会がなく,なかなか実感として成果と課題を体感することができなかったと思います。
昨日のNHKの番組で,なわとびが上手になるために,タブレットを有効に活用し,自分のなわとびのストロークやフォームをメタ的に見る機会を設け,小学生がなわとびを上手にできるようになっていく,というものがありました。
英語においても,まさにその発想がなかった,のではないでしょうか。
そこで,上の図のように,4人グループを1つのユニットとし,2つのペアがチームになります。一方のペアが話している様子をi-padで他方のペアが撮影し,それをお互いに行った上で,最後に4人で対話の様子を視聴し,成果と課題を互いに指摘し合う,というステップを授業に組み込んでみました。
12月9日に校内での授業研究会で研究授業の形で実践した内容です。
(事前に6回,i-padに触れて学び合う機会を経験して)
授業を参観した先生方からのいろいろな報告から,この気付き合い,学び合う段階を経て,もう一度パートナーを替えて即興での対話を行わせると,彼らの対話の様子がプラスに変容していたことが報告されました。
お互いの対話の様子を振り返る中で,当初は表面的なことが主に出されていました。
●ゼスチャーを入れた方がいい
●聞き手がリアクションをした方がいい
●不自然な間を作らない
しかし,こうして気付いたことを交流させることを続けつつ,私からもいくつか視点を与えていくと,彼らの気付きの質が変容してきました。
与えた視点は:
●自分の発話の自然さはどうか(発音・イントネーション・プロソディ)
●発話の正確さはどうか
●話し手としてどんな工夫ができるか,聞き手としてどんな工夫ができるか(=対人意識)
です。
今回振り返った内容をクラス全体で共有した中で,自分の発話の間違いに気付き,それをどうしたら正しいものに直せるか,という話し合いをした,というグループからの発言が出てきました。
今話したばかりのことを即時的に振り返る機会を持つことで,こうした気付きが出てきたのは,本当に大きいことだと感じました。
また,授業後,数名を抽出してインタビューを行ったのですが,その中では:
●自分の発話のスピードの速さが気になり,2回目の対話で,発話のスピードをコントロールしようとした。実際にできたと思う。
●話し終えて,自分の発話の中での間違いに気付いていた。i-padで振り返ると,やっぱりそうか,と確認することができた。
こうした声が聞けたことも大きいですね。
振り返りの機会,これからも持っていきたい,そう強く感じました。
みなさんはどんな振り返りをしていますか?