1年生 1学期末のスピーチ発表を見ていただきました

秋田のO先生に、1年生のあるクラスのスピーチ発表(1学期末・自己紹介)を見ていただきました。優れたもの、だけ、ではなく、みんなのものです。

(どのスピーチも個性が溢れ、素晴らしいので、選別するのは好きではないです)

 

視聴後、送ってくださったメールと、それについての返信を共有しますね。

勉強になりますね・・・

 

***

 

 

T先生

授業VTRを拝見しました。

1年生の1学期、語彙も表現も少ない中、
発表会をやることは、結構高いハードルがあると感じています。

「これを話しましょう」とみんなが同じパターンにすれば
そう難しいことではありませんが。

しかし、それではつまらないですね。


今回、見せていただいた1年生のスピーチは、
それを見事にクリアしていると感じました。

何よりも、生徒達が楽しくやりとりをしているということ。
間違えたらどうしようとか、恥ずかしいというような
よくある英語の壁を全く感じさせない発表会でした。

外国語活動の影響もあるのでしょうか。
小学校の授業と似たような雰囲気を感じます。

自由な雰囲気の中で、伝えたいことを自然に伝えて
英語を話すというより、コミュニケーションを楽しんでいる
という感じですね。
やりとりが即興的になっていたことも印象的でした。

間違えても、教師がさりげなく言い換えていることも
安心感につながっているのかも知れませんね。

また、スピーチの内容が自分の話したい内容になっていると感じました。
教科書の「あなたの話したいことを4つ以上選んで。。。」
という作りもいいですね。
実際の原稿作成ではどのような手順を踏んだのでしょうか。

質問の表現もバラエティにあふれていて、
かつ、今の時期にしては高度な文だったと思います。
質問力を付けるためにどのような指導をしてきたのですか。
答えがなかなか難しいものもありましたね。
3年生であっても、「この質問なら答えられるだろう」と
考えながら質問するのは難しいです。
1年生ならなおさらですね。

かつて原稿を暗記させるかどうか、迷っていた時期がありました。
暗記させることで、全ての負担が「暗記」に行ってしまうことを
考えて、「暗記しなくてもいいけどみんなの顔を見てね」としています。
VTRの生徒達もそうでしたね。
でも、全然不自然さを感じさせませんでした。

ところで、
最近の子達って妙に手が動きませんか?
あれ、何の影響でしょうね。
ジェスチャーともちょっと違う手の動き。
他の教科でもそうなんでしょうかね。
気になります。

元気な1年生の姿。
いいですね。

楽しい1年生の授業を見せてもらいました。


***

 

O先生

 


3年生の最終段階を見て、実際に体感してから
改めて1年生におりてくることの意義を
ずっしりと感じた1学期でした。

3年生であそこまで高めるのか、
ならば、と、これまで以上に
ゴールを意識した指導が展開できたかな、
と思っています。(まだ改善はもちろんのこと必要ですが)


意識したことは:

 

①ゴールをこれまで以上に意識させる
 (これまで以上にスピーチや即興での対話を目指すことを明言しました)

 → ア みんなの前で発表することを

   (指名後の発言も含め)意識させました

   イ その中で、自分の考えを表明するのに、
    どんな表情や、ボリュームで、どう伝えるのかを
    時あるごとに考えさせました

 

 

②発音をこれまで以上に大事にする

 →
   ア 2・3年生ばかりを見てきて、1年生の段階で、
    どれだけ徹底するかが大事だと感じたので、
    丁寧な指導を心がけました。

   イ できていない時には、丁寧に調音方法も示して
    なんども練習をさせました。

 


③正確性よりも、流暢性を重視する
 でも、正確性もできる限り担保する

 → 
   ア どんどん出させる、ということをさせました。
    間違えることについては恐れることなし、を
    励ましとして伝えました。

   イ O先生の実践に学び、宿題として行ったワークの
    答え合わせを行いました。これまで以上に基礎を
    重視しました。

   ウ 教科書の内容理解の際、キーセンテンスや重要な
    語彙の扱いを厚くしました。
    イと併せ、丁寧に扱ったことで、原稿作成時の
    エラーが激減しました。これにはびっくりでした。

 


④教師の語りをモデルにさせる

 →
   これは暗示的な効果を発揮していると思いますが、
   みんなの前で話す、ということに関して、自分らしさを
   出し続けました。

   ア 実物を提示する、音量や話す口調などを
    どんどん変化させ、役者のように話して見せる

   イ 間を取る、理解確認をする、などを実演し
    続けました。

 

 

⑤自分たち自身のパフォーマンスを可視化する

 → 練習の段階で、これまでは原稿の読み合い、
  アドバイスを送り合い、学び合う、という協同の
  要素を取り入れてきました。
   他者評価、という意味では非常に効果がありました。
   一方、自分自身を客観視する、という点は弱い、
  と感じていました。そこで・・・
   2年前くらいからタブレットを活用したリハーサル
  をさせていますが、今回もそれを取り入れました。

   メタ的に、自分を客観視することはとても大きいです。

 

 

⑥スピーチ発表と、即興での対話を結ぶ、つなぐ

 →

   発表後に即興での質問をするよ、と事前に伝えて
  いました。まだまだ固定メンバーの質問が多かった
  のですが、今回は初回なので、こんな風に進むのか
  ということがクラスとして共有できれば良いと思って
  いました。
   質問が出ないこともありました。そんな時は、
  時間を取って周囲と相談をさせ、質問を準備させました。

   今回思ったことは、普段即興でどんどん話させている
  ことが、間接的に効果を発揮している、ということです。
   普段、相手との対話を継続するために、質問がとても
  大事なポイントになることを授業の中でなんども確認
  しています。だからこそ、こうした場面でも生きたのだと
  そう思います。

   こちらは都会ではありませんが、
   中心市の子どもたちは、
   上級生になると、妙に構えたり、静かになってしま
  ったり、そんな傾向があるのかな、と思います。
   でも、1年生のうちからこうして楽しみながら
  取り組ませることと、私自身が授業をそんなムードに
  コーディネートし続けることができれば、質問がたくさん
  出るムードになるなあと改めて感じました。


どれについても言えるのは、「こうしなさい」ではなく、
彼らに疑問を投げかけ、考えさせるようにしました。

自分が短期決戦で教え込もうとしていない、先を見て焦っていない、ということが大きいと思います。


指導の流れは、教科書通り、に今回は初めてしました。

改めて教科書の流れを見ると、よくできているな、と
感じたからです。

ただし、清書をしてから発表までは敢えて週末を挟みました。
自分の練習時間を確保できるようにしました。

特にすごいことは何もしていません・・・
大丈夫かな・・・

 


O先生のメールを読んだり、話をしていると、
すごいなあ・・・と思います。

自分は、子どもの頃からすごく手がかかって、
喧嘩ばかりしている子でした。
いわゆる問題児です。

本も読まなければ、道徳的な感動体験をすることもなく、
そうした幼少期から少年時代に経験し、学ぶべきことが
欠落している中で、深い、学ぶべきことに関しての
ストックが本当にないのだと思います。

なので、教科書の題材の深い部分などを自分自身が
取り上げることがどうも苦手です。
コミュニケータとして、上手にやりとりをし、
仲間との関係性を向上させるような意味での対話は
できるのではないか、と思いますが、
今回のALTの先生の生かし方、
前回、戦争に関しての題材の生かし方、そして、
自分の実践への(もちろんいい意味での)批判的な
指摘(かわいそうな象のアレンジを楽しくしてしまって
本当に良いのか)、などを考えると、「人」としての
自分の薄さを改めて感じてしまいました。

この部分は今更どうにもならないことかなあと
頭を掻きながらメールをなんども読ませていただいています。
(大苦笑・・・)


毎回毎回、鋭く示唆に富んだメールを
本当にありがとうございます。

心からお礼申し上げます。