Shotaへ 文教大学での授業がつないだ学びの輪
ここ数年,阿野先生にお呼びいただいて,文教大学湘南台キャンパスに1年に1度,教育実践演習の一コマを担当するために出かけています。1年前に担当した授業を一緒に創り上げた学生Shotaから,拙ブログにコメントが寄せられました。
嬉しいので,コメントを返すかわりに,記事で彼の質問に答えていきたいと思います。
Shota,よろしくね!
彼から寄せられたコメントです:
こんにちは。
去年文教大学を卒業し,英語教師としたShotaと申します。
一昨年12月に行われた英語教職の授業では貴重なご講話ありがとうございました。
教職に就いた今,定期的に先生のブログをチェックし,日々の授業改善に役立てています。
最近では,帯活動の一種として基礎英語も取り入れております。
この記事にある「書く」ことについて質問させていただきたいと思います。
takaenglishteacher.hatenablog.com
ここの記事にある,
「そこで,対話をさせた内容をレポートさせる形で,授業の最後に3分程度ライティングをさせ,先生に対話内容を報告するぞ,ということで取り組ませています。」
という点を,対話のやり方 から詳しく教えていただけないでしょうか。
今自分が担当している1年生で,自分の言葉で英語を書いたり読む活動が少ない状態です。少しでも先生の授業の技術を参考にし,生かしていければ,と思っております。
ご指導よろしくお願いいたします。
きっと,1年目で,授業をどうしようか,日々悩みながらがんばっているところなのでしょう。自分なりに一生懸命回答しますね!
Shota
コメントありがとう。ブログを読んでいてくれるのも,本当に嬉しいです。
今年も12月に文教に行って,後輩たちと一緒に授業をしてきましたよ。こうしてネットワークが広がり,つながりが生まれていることを嬉しく感じています。
さて,質問への答えです。
コミュニケーション活動は基本的に2人組,ペアで行っています。
授業の最初に,どんなトピックについてこれから扱っていくのか,子どもたちが自然に受け入れられるように,教師がsmall talkをします。
たとえば,比較級なら,自分の子どもを連れていきたい場所が2か所あって,迷っているんだ,どっちがいいかなー。と問いかけ,2か所の写真を見せながら話をしていきます。
その中に,比較級を忍ばせて,自然な流れの中で何度も使い,比較級の形式だけでなく,意味や働きが体感できるようにします。
この本,読んでみた? とてもいい本だよ。この中で,生徒とトピックを結ぶためには,「必然性・必要感・自己関連性・自由度」が挙げられています。自分と関係あることだ,と生徒に思ってもらうことが,本当に大事になりますよ!
さてさて,教師が自己開示をし,子どもを連れていく場所について話をしている中で,生徒を巻き込みながら自然とインタラクションを展開していきます。
インタラクションをある程度続け,生徒がトピックに馴染んだら,ポイントとなるセンテンスを板書し,どんな意味で使われていたかを推測させます。
キーセンテンスの意味が捉えられたらリピートさせて練習をし,馴染ませます。
その後,small talkから少し発展した次のトピックを提示します。
教師がモデルを示す形でインタラクションを行い,生徒と一緒に対話を展開してみせます。それが,その後のペアでの対話の伏線になっていて,こんなふうにやりとりを継続すればよいんだよ,という実演になっています。分かりますか?
対話のフレームを印刷して配布,ということは敢えてしないようにしています。プリントが手元にあると,それを見てしまい,相手を見なくなってしまうからです。最初はできなくても,焦らず自分のことばで語らせるようにします。
最初のパートナーとの対話を終えたら,パートナーを替えてもう一度対話をします。最初は隣の人,次は前後で,という感じです。このことで,最初の失敗を改善させたり,相手の発話から学んだりすることができます。
ここまで終わったら,机間指導で見取って,みんなのモデルになりそうなペアにデモンストレーションをしてもらいます。それに対して,何がよかったのかを具体的にフィードバックし,それを全体にも聞かせて共有します。すると,どうがんばればよいか,みんなで確認ができることになりますね。
この部分を話題を少し替えて,もう一度繰り返します。さっきよりも少しだけ難易度が上がるような話題にするといいかもしれません。
そして,最後に,ペアでやりとりしたことを書き起こす時間を取る,ということなのです。
伝わったかな?
授業を考えだすと悩んでしまってきりがないなあと思うでしょう。45になる自分だっていまだにそうですよ。
でもね,答えは意外と単純だったりします。
がんばってね!