続・intake考

昨夜投稿した記事に,先月カナダのマギル大学の博士課程に進んだTさんからfacebookにコメントが付きました。

 

Tさんは,6月の公開研にも脚を運んでくれたり,その時の感想をブログにアップしてくれたり・・・

 

自分の修士論文についても,自身の論文を参考に,と送ってくれたり,書き方のアドバイスを何度もしてくれた仲間です。

 

intake is only a part of initial step of acquisition, and please take carefully examine the further stage, integration (interlanguage), which can be qualitatively developed and gradually transformed into output. It seems a bit unusual to jump quickly from intake into output. Please see the Gass's description of 'intake'.

 

確かに,その通り!ですね。

 

教育実習生を相手にする,ということもあり,intake,ということばを単純化して使ったことで,研究サイドにいるTさんには違和感を持って受け止められたのだな,と思います。

 

活動の導入段階で,教師によるinputがあり,生徒を巻き込めるようなauthentic,かつ,生徒がinvolvementを感じられるようなトピックのもと,interactionをしながら対話の進め方に馴染ませる

 

その後,生徒相互の対話(output)に進む前の段階で,どんなふうに対話を進めればよいかを(あくまでも説明的になりすぎないように)押さえさせたい・・・

 

そんな段階を,practice,とか,drilling,のように表現したくないなあ・・・と考えていたんですよね・・・。

 

 

ここは,稲岡先生の授業の進め方から大いに影響を受けているのですが,対話のスタートになる問いと,その問いに対する答え,だけの一問一答にならず,その後の追加発問や,そこへの解答例などを+αとして板書し,それまで音声ベースで自然に導入され,インタラクションに巻き込まれ,体感的に触れてきたことを,視覚的にもヒントを得られる状態で整理する段階になるのだと思います。

 

流れを具体的にイメージできたら,対話の3ターン目,4ターン目以降は,これまで学習して来た語彙や言語材料を活用しながら,思考錯誤して対話を継続していくことになります。

 

その試行錯誤の中で,相手の発話を聴きながら,自分のinterlanguageの課題にnoticingしたり,自分で話しながら,言えること,言えないことにnoticingしたり・・・・

 

first partnerとの対話の後で行われる,代表生徒のデモンストレーションを聞いて,言えなかったことを実際にどう言えばよかったのか,のヒントを得,second partnerとの対話で,言えるようになる・・・

 

対話後,話した内容を実際にノートに書き起こすことで,メタ的に自分の対話を振り返ることができる・・・

 

 

そうした流動的な流れの中で,intakeの一連の流れが進んでいくのだと思います。

 

 

Tさん,どうですか?

 

 

Tさんからのコメントは,私への期待の気持ちも込めて,の叱咤激励だと思います。

 

ただ,現場の先生方に学びのチャンスをたくさん提供していくなど(現職教員の長期研修制度の充実),日々の指導を見直す機会を充実していかなければ,みんなで一歩ずつの授業改善にはなっていかないのだと思います。

 

多忙を極めている現場の先生が,多忙を極め,身を削って日々の業務に埋没している状況では,SLAについて学んで!といっても,難しいからです。

 

我々現場の教師が努力するのと同時に,やはり,そうした知見をもとに,実際のclassroom settingで授業をどう展開していくか,という実践的な指導を,大学で学んできてほしい,という思いも強くもっています。

 

実習先に行かせたら,「外注」で,指導案の書き方から,授業の進め方・・・などなど,お願い,ということではないように思うのです。

 

どうでしょうか??