テストは,日頃の学びの成果を発揮させる場になっているか?
勤務校では,定期テストがありません。
全てのテストが実力テストになっています。
定期テストであれば,教科書で学んだことや,文法事項や語彙が,確実に定着しているかどうかを問う問題を解かせる,ということになると思いますが,実力テスト,となると,習熟したことが活用できるようになっているか,を問う一歩進んだ設問になると言えるでしょう。
だからこそ,普段の授業での学びや,生徒たちが家庭で,どんな学びをしているか,その成果が発揮できる問題を解かせたい,そう思うのです。
少し前のブログ記事に,滋賀県のUさんがコメントをしていました。
Uさんも,このブログを通じてつながり,お互いに授業改善のために学び合っている先生です。
テストの設問が,評価したい観点について問う出題になっているのかどうか。
生徒の解答を,適切に採点,評価できているのかどうか。
Uさんは,同僚との考えの相違に悩んでいました。
私も,同じように悩んだことがあります。
価値観の違う人と,意見をぶつけ合っても,折り合える接点を見いだすのは大変ですね。
評価を受けることになる子どもたちに不利益を与えてはいけないのですが,複数の先生で同じ学年を担当する先生と意見が合わないときには,それはそれは大変なことになります。
関西外語大の中嶋洋一先生は,そうした同僚と,テスト問題を分担で作成することを提案されています。
理解の問題はA先生,言語・文化の問題はB先生,表現の問題はC先生,とするわけです。
作問の段階でお互いに相談をし,採点についても事前に話し合うことになるからです。
いずれにしても,お互いの考え方をすり合わせて,本当に理解し合えるまでには,数年がかかるでしょう・・・。
焦らず,弛まず,です・・・。
私が作るテストは,兵庫県の加藤京子先生のお考えの影響を強く受けています。
今回の実力テストで出題した英作文の問題では,
「自分の好きな飲み物」
というお題を与えて自由に作文をさせます。
5文以上を目標に作文させますが,書ける人は多く書くように事前に伝えています。
間違いが起こったら減点,する方式ではなく,加点方式で採点をするのです。
1文に基本2点をもたせ,1点は正確点(文法・綴りなど),もう1点は内容点(意味が理解できるか,伝わるか)としています。
例えば,My favorite drink is coke and milk. と言った場合,前者は-1ですが,後者は+1で,1点は取れる,というものです。
また,5文以上作文をしている場合,正しいものを先に加点の対象とします。
だから,書けば書くほど点数が取れるのです。
最後に,全体として文章の流れがどうか,総合的に見て,残念ながら流れがおかしくないかどうかを見ます。
つなぎことばなどが入っていて,適切な流れの場合は加点した取り放題のままになりますが,文脈がおかしい場合は,全体から-1点します。
この方法でテストを実施してから,生徒たちは解答欄外まで英作文するようになりました。
イディオムを問う場合も,普段,コンテクストの中で使わせるように仕向けているので,2人の対話の中で問う,という問題にしています。
A : My sister went to Kyoto last month. However, I didn’t go there with her.
B : Oh, really? I went to Kyoto two months ago. I went there ________ the first ________.
普段の授業をがんばっていると,テストでも結果につながるんだ,という思いを生徒たちにもたせたい,そう思うのです。
減点して萎縮してしまうような設問になっていたら・・・
先ほどの英作文の問題でも,
I like coke.
I like milk.
I like tea.
のような作文が出てくることでしょう。
今回の実力テストでは,子どもたちがどんな飲み物が好きなのか,よく分かりました。
カルピスソーダが好きで塾に行くと買って飲んでいること。
コーヒーは好きだが,ブラックコーヒーは飲めないこと。でも,ミルクをたくさん入れてミルクコーヒーにして,氷を入れて楽しむこと。
お茶が好きで,ペットボトルのお茶をよく飲むこと。おーいお茶や生茶は好きだけれど,綾鷹は好きではないこと。
などなど・・・。
テストは,日頃の学びの成果を発揮させる場になっていますか?